APS(アドバンスト・フォト・システム)とは、20世紀末にイーストマン・コダックが提唱して、日本国内4社と共同開発した新しい写真システム。
1996年にサービス開始されましたが、写真界の急速な完全デジタル化により2012年で消えてしまったのが残念でなりませぬ。
100年上も続く35mmフィルムに比べて、APSはあまりにも短い人生だったのでありました。
APSはフィルムの規格名称と勘違いされている方が多く見られますが、APSは写真システム全体の規格の名称であり、IX240という当時新規格の専用フィルムを使用いたします。
APSはカートリッジの中が銀塩フィルムですが、システムを通じてできることは極めてデジタルチックなのであります。
例えば、今のデジカメにSDメモリカードを入れる感覚でフィルムカートリッジは自動装填方式。
フィルム全体に磁気層がコーティングされているために、現在のExif情報よろしく撮影情報を記録する事も出来たのでございます。
更に、なんと!撮影中にフィルムカートリッジをを交換したり、フィルムカートリッジを元に戻したりという芸当もできたのであります
極めつけは、フィルムカートリッジをAPS規格フォトプレーヤーに差し込めば撮影した写真をテレビで鑑賞できたり、APS規格のフィルムスキャナーで画像をデジタル化すれば、プリンターで印刷したり、これまたテレビで鑑賞できるのでありました。
撮影時にはカメラ側と、それからプリント時にはラボ側で、1コマごとにアスペクト比が変えられるというマジックも忘れてはなりませぬ。
そのアスペクト比は以下の3とおりなのであります。
- Hサイズ(ハイビジョン)9:16
- Cサイズ(クラシック)2:3
- Pサイズ(パノラマ)1:3
パイオニアのレーザーディスク同様、アナログとデジタルへの過渡期に誕生し、完全デジタル化で消えてしまったAPSシステムが惜しまれます。