ベローズ/蛇腹とは、ビューカメラ(大判カメラ)などで、レンズボードとフィルムバックの間にある、収縮自在の蛇腹の部分です。

ベローズは本来は革製ですが、安物の製品は紙でできていたりもします。

当然耐久性は革製の方が上でございます。

え?「蛇腹(じゃばら)」を知らないって?

蛇腹というのは、一番わかりやすいのは、アコーディオンの伸びたり縮んだりしている部分でしょうね。

伸び縮みする蛇の腹から来た名前でしょうね。


ところで、ビューカメラ(大判カメラ)というのは、集合写真などを撮るときに、大きな三脚の上に箱型のカメラを乗せて、冠布と呼ばれる遮光布を頭からかぶって撮影する大きなカメラです。

最近あまり見かけませんが、時々映画なんかで観ることがあります。

ビューカメラ(大判カメラ)のレンズは、板に取り付けてあるだけで、ピント調整用ヘリコイドがついていません。

そのため、ベローズ/蛇腹を収縮させてピント合わせをするのです。

それだけではなく、大型カメラ特有のアオリ操作は、ベローズ/蛇腹の自由自在な動きがなくては不可能なのでございます。


さてベローズ/蛇腹は、ビューカメラ(大判カメラ)だけに使われているモノではありません。

最近見かけ無くなった、昔のスプリングカメラ等のフォールディングカメラにも使われていました。

フォールディングカメラとは、撮影レンズの鏡胴部分を蛇腹にすることによって、折りたたんでコンパクトにする事ができるカメラです。

現在は沈胴式レンズのコンパクトカメラの開発によって、ベローズ/蛇腹は次第に消えて行きました。

しかしまだ完全に消えたわけではなく、FUJIFILMの中判フィルムカメラGF670プロフェッショナルは現在も新製品として販売中でございます。


また接写撮影の用具としても、ベローズ/蛇腹が広く使われて来ました。

既存の撮影レンズとカメラの間に装着して、レンズの繰り出し量を大きく稼ぐためです。

しかし最近は、接写リングが多くに使われ始めています。

さらに高性能マクロレンズの普及も、ベローズ/蛇腹の必要性を無くしています。

このように、ベローズ/蛇腹は徐々に姿を消しゆく運命に置かれているのでございます。


最後になりましたが面白い使われ方として、スタジオ撮影や映画撮影の可動式レンズフードにベローズ/蛇腹が使われています。

是非ともせめてフードとしては、残って欲しいと思うのでありました。