バウンス光とは、文字どおり反射光のことを表します。

一般的に写真の世界での反射光とは、自然光が反射した光のことではありません。

フラッシュ/ストロボなど写真撮影用の光源を、意図的に何かに反射させて、被写体に当てる場合の光を言うのでございます。


バウンス光は直射光に比べて、光の質が柔らかく、影の出にくいトーンの美しいのライティングができます。

え!ディフューズの所でも同じ事を聞いたって?(笑)

確かにディフューズも、光の質が柔らかく、影の出にくいトーンの美しいライティングとなります。

しかし、そこには大きな違いがあるのでございます。

ディフューズは、フラッシュ/ストロボ等の光源を、トレーシングペーパーなどに透過させる事で、光を拡散して(光のベクトルを散らして)光質を柔らかく影を薄くします。

それに対してバウンス光は、フラッシュ/ストロボ等の光源を、天井や壁などに当てて反射させることで、反射する発光面の面積を広げる事になります。

この発光面の面積が大きく広がることで、柔らかく影の出にくい光質に変わるのです。


「発光面の面積を広げるほど、光の質が柔らかく影が出にくくなる」という事を、初めて聞かれてた方も多いのではないでしょうか?

太陽の光に強い影が出るのは、太陽が点光源だからなのです。

フラッシュ/ストロボの直射で強い影が出るのも、同じくフラッシュ/ストロボの発光管が小さいためです。


そのために、発光面積を少しでも広げて光を柔らかくしようと考えられたのが、バウンスというテクニックなのです。

スタジオ撮影などでは、写真撮影用アンブレラ等、発光面積を大きくするための機材を使用します。

しかしスタジオ外の撮影で機材が無いときは、天井や壁に向けてフラッシュ/ストロボを発光させて、バウンス光をつくるのが一般的です。

そのため外付けのクリップオンストロボは、発光部が反射面に向けられるように上下左右に動くようになっているのでございます。


このように、アンブレラ傘にフラッシュ/ストロボ光を反射させることを「アンブレラバウンス」と呼びます。

同じく、天井(壁)にフラッシュ/ストロボ光を反射させることを「天井(壁面)バウンス」と呼びます。

このように反射させるモノや位置によって、呼び方を変えるのが一般的なのでございます。


さて、バウンス光で撮影する場合、フラッシュ/ストロボのGN(ガイドナンバー)の計算はどうすれば良いのでしょうか?

これは意外と簡単で、バウンスしない場合と計算方法は同じです。

発光面から被写体までの距離を、反射させた分伸ばして計算すれば良いだけです。

それ以前に、最近のデジカメはTTLオートストロボの使用が一般的なので、計算すら必要ないですね。

つまり、バウンスしても、しなくても、そのまま撮れば良いだけです。便利な世の中でございます。


ただし、ひとつだけ注意点がございます。

バウンスさせる面が白やグレーでなければ、反射面の色が反射光が影響され、色かぶり起こすことがあります。

そのためやむを得ず色つきの面にバウンスさせなくてはならないときは、ホワイトバランス(WB)をオートに設定することで、少しは色かぶりが緩和されるのでございました。