回折現象とは、デジカメなどのレンズを絞ると、写る画像の解像力が減ってシャープさが失われていく現象です。
レンズの絞りは絞り羽根がつくる穴の大小で、人間の瞳孔のように通り抜ける光の量を調整しています。
一番絞りを開いた状態から絞っていく(F値の数字が大きくなる)と、絞りの穴が小さくなって行きます。
ところが絞りの穴が小さくなるにつれ、穴を通った光が穴の周辺部に回り込む現象が起きるのでございます。
この現象が回折現象と呼ばれていますが、光の回り込みの影響でピントのズレが生じて、画像のシャープさが損なわれてしまうのです。
どこまで絞り込むと回折現象が目立ち始めるかは、カメラの諸元より異なります。
まず同じセンサーサイズで比べると、画素数の多いカメラほど明るい絞り値から回折現象が目立ち始めます。
またイメージセンサー(撮像素子)が小さいほど、これまた明るい絞り値から回折現象が目立ち始めるのでございます。
ちなみに回折現象が目立ち始めるのは、35mmフルサイズでF11から、APS-C規格でF8から、マイクロフォーサーズ規格ではF5.6からと言われております。
つまり小さなイメージセンサー(撮像素子)で、なおかつ高画素数のカメラほど回折現象が出やすいと言うことになるのでございます。
特にイメージセンサー(撮像素子)の小さいコンパクトカメラは、絞り開放(全く絞りを絞らない状態)でも回折現象が出ていることになります。
またマイクロフォーサーズ規格でも、解放F値がF5.6の望遠系ズームレンズを使う場合は、絞り開放から回折現象が出ていることになるのでございます。
そのためにカメラによっては「回折補正機能(画像処理エンジンで画像のシャープさを強める)」などという便利な機能をを装備したものもございます。
ところで回折現象は自然現象なので、防ぐ方法は絞らない!に限られます。
つまり必要以上に絞らない!特別な理由のない限り、原則最小絞りを使わない!と言う事です。
そんな事を言われても、パンフォーカス(画面全面にピントが欲しいとき)や深い被写界深度が欲しいときは、絞りを絞り込む必要があるますよね。
その時は「ピントを取るか?or 画質を取るか?」の選択となってしまいます……
写真は本当にジレンマとの戦いでございますね。
ところで一般的にレンズの最高の画質が引き出せる絞り値は、開放絞りから2~3段絞った値だと言われております。
その理由は、解放絞りで補正仕切れなかった各種収差や画面周辺の光量低下が防げるからでございます。
しかし欲を出してそれ以上絞ると、今度は回折現象で画質が低下してくるのでありました。