DOレンズ(積層型回折光学素子レンズ)とは、Canonが開発したレンズ形式です。

DOは(Diffrancctive Optics)の略です。

「積層型回折光学素子レンズ」とは、なんとも想像もつかない凄い名前ですね、

しかし原理は簡単な様で、回折現象でもお馴染みの「回折」と言う現象を利用して、光の進路を調節し、各収差を補正するという優れ物なんです。

回折現象といえば、絞りを絞り過ぎると画質の低下を招く厄介者でしたが、Canonの手にかかると毒も薬になるという良い見本なのであります。


いったい、毒にも薬にもなる「回折」とは、何なんでしょうか?

「回折」とは、光が障害物の端っこを通過すると、その裏側に回りこんでしまうと言う性質です。

ただそれだけなのですが、絞りを絞るほど穴が小さくなり、回折の回り込みの影響を受けて解像度が低下する「回折現象」で知られています。


実際このDOレンズ(積層型回折光学素子レンズ)は、レンズの表面に0.001mm単位の溝が同心円状に作りこまれています。

この溝が回折を起こし、各収差を一気に補正してしまうと言うスーパーなレンズなのです。


そのために、1枚のレンズで蛍石レンズと非球面レンズの両方の性能を併せ持っていると言われています。

そのため、DOレンズ(積層型回折光学素子レンズ)を用いることで、以下の3つのメリットがあります。

  • 描写力の飛躍的な向上
  • 飛躍的なコンパクト化
  • 飛躍的な軽量化

現在は、色収差の発生が問題となりやすく、これらの3つのメリットを十分に生かすことができる「望遠レンズ」を中心に採用しています。


しかしどんなに優れ物でも、欠点はございます。

DOレンズ(積層型回折光学素子レンズ)を用いた試作モデルが、初めて公開された2000年のフォトキナ(ドイツケルン開催)当時は、以下の欠点が指摘されました。

  • 逆光時にフレアを発生しやすい。
  • 点光源の周りに、リング状の像が現れる。
  • 特定のズーム焦点距離上で、解像度やコントラストの低下が見られる。

しかしご安心下さい。現在では、以下の改良により、これらの欠点が軽減されています。

  • 「密着二層型DOレンズ」の開発。
  • DOレンズを前玉から、内部の配置に変更。

このように現在は、コンパクト軽量と言う長所を生かしたまま、欠点だけが軽減されています。

DOレンズ(積層型回折光学素子レンズ)は、安心して使えるのでございました。