電子先幕シャッターとは、フォーカルプレンシャッター先幕の代わりに、電子シャッターを作動させることで露光を開始するシャッター方式です。
露光の終了は、フォーカルプレンシャッターの後幕を閉じる従来の方式と同じでございます。
復習になりますが、フォーカルプレンシャッターは先幕と後幕の2枚のシャッター幕を備えています。
通常の撮影では、シャッターボタンを押すと先幕が開いて露光を開始し、露光終了と同時に後幕を閉じる方式でございます。
ところが電子先幕シャッターでは、先幕を使わずにイメージセンサー(撮像素子)が電気的に露光を開始するのです。
「電子先幕シャッター」は特に最近よく耳にしますが、なぜこのようなシステムが必要なのでしょうか?
それはフォーカルプレンシャッターのデメリットを補う、次のようなメリットがあるからなのです。
- 先幕シャッターの動作による振動が無い分、カメラブレが起きにくい。
- 同じく先幕シャッターの動作が無い分、レリーズタイムラグを短くできる。
- 後幕で露光を終えるので、ローリングシャッター現象が発生しにくい。
特に高画素数を誇るカメラは、シャッターブレの影響を大きく受けますから、電子先幕シャッターはありがたい存在なのでございます。
しかし電子先幕シャッターにもデメリットがございます。
高速シャッターになると、シャッター幕とイメージセンサー(撮像素子)の隙間が原因で露光ムラが生じやすいのです。
露光ムラはレンズごとの情報を元に、電子先幕とメカニカル後幕を同期させないと解消できないのでございます。
その他一眼レフカメラに関しては、ミラーアップしてからでないと電子先幕シャッターは使えません。
また一眼レフカメラは、シャッターの構造がフィルムカメラと同じなので常時閉じています。
そのために2回シャッターを押す必要がある機種もございます。
と言う事はこの時点で、一眼レフカメラの電子先幕シャッターは、動体撮影には向いていない言う事になりますね。
ところで最近の高級コンパクトカメラは、メカシャッター(レンズシャッターが多い)と電子シャッター両方を備えている機種も珍しくありません。
それらのカメラは通常のシャッターとして、電子先膜シャッター同様に電子シャッターで露光を開始して、メカシャッター(コンパクトカメラはレンズシャッターが多い)を閉じて露光を終えるタイプが多いのでございます。
このようなハイブリットなシャッターの進化に、ワクワクする今日この頃でありました。