偽色とは、デジタルカメラで撮影すると、実際には被写体に無い色が写る現象をいいます。

偽色が発生する原因は、デジタルカメラのイメージセンサー(撮像素子)のカラーフィルターの配列パターンにあると言われております。

現在のデジタルカメラは、一部のメーカを除いてイーストマン・コダックのベイヤーさんが発明した「ベイヤー配列」という配列パターンが使われています。

ベイヤー配列以外では、FUJIFILMのX-Trans方式や、SIGMAのFaveon方式などがあり、これらは偽色やモアレが発生しにく事が特徴でございます。


では、なぜベイヤー配列にだけに偽色が発生するのでしょうか?

実はイメージセンサー(撮像素子)そのものは、全く色が記録できないのです。

わかるのは光の強さだけなので、写真の階調しか記録できないのでございます。

つまりイメージセンサー(撮像素子)だけでは、色のないモノクロ画像しかつくれないのです。

そこでRGB3色のカラーフィルターを用いて、画像を色分解して色を取り出す方法が採用されております。

イメージセンサー(撮像素子)の前面にRGB3色のカラーフィルターを並べるのです。

並べると言っても、一つの画素の前にはRGBいずれか一色のフィルターしか置けません。

そこでRGB3色をどういうパターンで並べたら良いかを考えて、その結果発明されたのがベイヤー配列というパターンなのでございます。


しかし、実際にはRGB各3色がそれぞれ均等に割り当てられるのではございません。

人間の眼の特性に合わせて、RGBを1:2:1の割合で配分されます。

有効画素数1000万画素のイメージセンサー(撮像素子)の場合は、R250万画素・G500万画素・B250万画素となるのでございます。

いずれにしても撮影した直後の画像(RAWデータ)は、一つの画素にGRBいずれか一色しかないモザイク写真になります。

そこで画像処理エンジンでデモザイクという補完処理をして、滑らかな発色をつくりあげるのです。

例えばGフィルターが割り当てられた画素は、RとBの情報を周りの状況から想像してRGB3色の色をつくりあげてしまうのでございます。

あくまで想像で作るので、被写体に実際に無い色ができてしまうこともあり、それが偽色と呼ばれるのです。


特にモアレが発生しやすい被写体の繰り返し模様とイメージセンサー(撮像素子)の画素配列パターンが干渉する場合は、モアレと同時に偽色も発生しやすくなります。

そのため偽色を「色モアレ」と呼ぶこともございます。

偽色の予防策はモアレ同様、ローパスフィルターの採用や、撮影時に位置やアングルを変えることなのでございます。