FP発光とは、ハイスピードシンクロで使われる、フラッシュ/ストロボの発光技術です。

このFP発光なしでは、ハイスピードシンクロの撮影はできません。

意外と知られていませんが、FP発光のFPとは、フォーカルプレーンシャッターの「フォーカルプレーン(Focal Plane)」の略語です。


おっと!その前に、「ハイスピードシンクロ」の説明をしなくてはなりませんでしたね。

ハイスピードシンクロとは、シンクロ速度よりも早いシャッター速度で、フラッシュ/ストロボがシンクロ(同調)できる技術です。

「そんな事ができるのか?」って?

その前に「シンクロ速度」の説明もしなくてはなりませんね。

「シンクロ速度」とは、フラッシュ/ストロボとフォーカルプレーンシャッターが同調する、最高シャッター速度のことなのでございます。


主に一眼レフカメラに使用されている「フォーカルプレーンシャッター」は、レンズシャッターと違い、全てのシャッター速度でフラッシュ/ストロボが同調するわけではないのです。

シンクロ速度以上のシャッター速度になると、シャッター幕は全開しないまま、隙間の状態で走行して露光を終えてしまいます。

そのために、シンクロ速度以上のシャッター速度でフラッシュ/ストロボを発光させても、シャッター膜の隙間の部分しか露光されません。

隙間以外の部分は、シャッター膜の影が真っ黒に写ってしまいます。

これは、シャッターの走行速度よりも、フラッシュ/ストロボの閃光時間(数万分の1秒)が非常に短いために起きる現象なのです。

昼間の定常光のような光では、いくら高速シャッターで撮影しても、画面全体が十分に露光をされますからね。

シンクロ速度

シンクロ(同調)の失敗例のイメージ。シャッター膜の隙間の部分しか露光されていません。上下の黒いのはシャッター膜の影です。

そこで、フラッシュ/ストロボの閃光を、少しで定常光に近づけることができないかと考えられました。

せめて、シャッターの隙間が走行する間(1/25秒前後)だけでも、フラッシュ/ストロボが発光できれば良いわけです。

そこで、弱い光量ながらも、非常に短い間隔で連続発光を繰り返し、長時間発光し続けているような状態を作り出す技術が開発されました。

これがFP発光と呼ばれる技術なのでございます。

このFP発光のできるフラッシュ/ストロボを使えば、シャッター幕が全開でなくても、シャッター幕の影を写し込むことなく撮影することができます

つまりシンクロ速度以上のシャッター速度でもストロボが同調するという、今までになかったハイスピードシンクロが可能になったわけでございます。


しかしFP発光でのハイスピードシンクロを行うにあたっては、専用のフラッシュ/ストロボと専用のカメラの組み合わせが必要です

幸いなことに、現在は高級一眼レフカメラをはじめ、各メーカーが徐々にこの技術を導入して一般化しています。

さらに、ハイスピードシンクロができる上限シャッター速度も徐々に引き上げられ、現在では1/8000秒くらいまで対応しているのでございます。