ハイスピードシンクロとは、シンクロ速度よりも速いシャッター速度シンクロ撮影することをです。

つまり、文字どおり、スローシンクロの真反対の撮影技術になりますね。

「え!そんな事できるの?」とおっしゃるあなた、現在は一部の高性能ストロボの技術を用いて可能なのでございます。


その説明の前に、シンクロ速度について軽く復習しませう。

シンクロ速度とは、シャッター幕が全開できる最高速度のことです。

一眼レフカメラに使用されているフォーカルプレーンシャッターは、大体1/250秒辺りがシンクロ速度となります。

それ以上の速度になると、シャッター幕が全開しないまま、隙間を走らせただけで露光を終えてしまいます。

そのため、フラッシュ/ストロボを発光させると、シャッター幕の影が画像に写り込んでしまうのです。

つまり、隙間の部分しか露光されないのです。

でもシンクロ速度以下のシャッター速度は、シャッター幕が全開するので、シャッター幕の影は写り込みません。

また、主にコンパクトカメラや大判カメラに用いられているレンズシャッターは、全てのシャッター速度でシャッターが全開しますので、このような問題は起きません。

つまり、シンクロ速度を意識しなくて良いのでございます。

シンクロ速度

シャッター膜が写り込み、隙間しか露光されなかったイメージ。顔が見えませんw

さてここから本題ですが、ハイスピードシンクロを行うと、なぜシンクロ速度を超えたシャッタースピードでも、シャッター幕の影が写り込まないのでしょうか?

もともと「シャッター幕の影が写り込む=隙間の部分しか露光されない」のは、シャッターが全開しないと言う以外にも理由があります。

それは、フラッシュ/ストロボが瞬間的な閃光(数万分の1秒)で露光させてしまうからなのです。

当たり前の事ですが、フラッシュ/ストロボを使わずに、自然光や室内光などの連続的な光で露光すればシャッター幕の影は写りません。

そこにヒントを得て、せめてシャッター幕の隙間が走行している間(1/25秒間位)は、弱い光量で発光し続ける「FP発光」と言う技術が開発されました。


このFP発光のできる専用ストロボと、専用カメラを組み合わせれば、シンクロ速度以上でのシャッタースピードを用いた「ハイスピードシンクロ」が可能となるのです。

これらの技術を用いた製品は、高級機を中心に現在急速に普及しつつあります。

しかし注意しなければならないのは、そのカメラが持つ最高速度のシャッター速度まで同調するわけではなく、現状では限界がございます。

その点、レンズシャッターはいくら高速のシャッターでも、フラッシュ/ストロボが同調するので凄いことですね。


でも、なぜそこまでしてシンクロ速度以上の早いシャッター速度が必要になるのでしょうか?

答えは簡単です。シンクロ撮影時に、シャッター速度はもちろん、それ以外の絞り値(F値)ISO感度の、選択の自由が広がるからなんです。

例えば大口径レンズの解放近くで使った、バックをぼかしたポートレート撮影などの日中シンクロが可能となるのでございます。