ラチチュードとは、まるで楽曲を表すような美しい響きを持つ言葉ですが、露出寛容度のことです。
フィルムや印画紙などの銀塩の世界で使う言葉で、デジタルの世界で言うダイナミックレンジに相当する言葉なのであります。
露出寛容度とは、簡単に申しますと露出オーバーや露出アンダーがどこまで許せるかという許容範囲のことでございます。
一般的には、銀塩フィルムの特性を表す時にラチチュードが多く使われます。
ラチチュードの広いフィルムは ハイライトからシャドウまで色と階調が豊かに再現されるのでございます。
それに対してラチチュードの狭いフィルムは、ハイライトは飛びやすく、シャドウは潰れやすくなるのです。
しかしその反面、ラチチュードの狭いフォルムほどコントラストが高くなり、画像の鮮鋭度も高いとされているのでございます。
カラーネガフィルムはラチチュードが広く、+3EV(段)~ー2EV(段)の5EV(段)もございます。
そのために広く一般的に使用されておりました。
逆に、カラー ポジフィルム(リバーサルフィルム)はラチチュードが狭く、わずか1EV(段)しかございません。
一般的には扱いにくいフィルムですが、発色や抜けの良さと鮮鋭度の高さから印刷原稿として厳しい露出管理の元で使われておりました。
なおISO感度が低いほどラチチュードが狭くなると言う都市伝説もございましたが、ISO感度とラチチュードの相関関係はございません。