レンズシャッターとは、文字どおりレンズの中に組み込まれているシャッターです。

と言いましても、一枚のレンズのガラスの中に組み込まれているのではございません。

正確には何枚かのレンズで組み立てられているレンズ構成の中の、レンズとレンズの間に組み込まれています。

レンズシャッターは、レンズ構成の中心付近に取り付けられている「ビトウィーンシャッター」というのが一般的です。

そうすることで、光の通り道である絞りの口径までシャッターを小さくできるので、小型化ゆえ高速化も可能なのでございます。


レンズシャッターは主に、レンズ交換が出来ないレンズ固定式のカメラで使用されています。

なので一眼レフカメラを愛用されている方には、馴染みの無いシャッターとなります。

一眼レフカメラに装備されているフォーカルプレンシャッターは、イメージセンサー(撮像素子)全面を覆い隠す膜面で構成されているために、非常に大型になります。

一部例外として、8×10や4×5等の大型ビューカメラの交換レンズは、レンズシャッターを使用しています。

これは大型ビューカメラのフィルム面積が大きすぎて、フォーカルプレンシャッターが使えないために、レンズにシャッターを内蔵させているのでございます。


一般的には「写ルンです」のようなレンズ付フィルムをはじめとして、コンパクトカメラにはほぼ間違いなくレンズシャッターが付いています。

その理由は単純で、レンズを交換しないのでレンズ内にシャッターを付けた方が、ボディに付けるよりも安上がりだからなのです。

更にコスト削減のために「プログラムシャッター」と呼ばれる、シャッター羽根を絞りとして兼用するタイプもございます。

そうすることで製造コストが安くはなりますが、シャッター速度の最高値が1/500秒程度に抑えられてしまいます。

しかし高級コンパクトカメラになりますと、絞り羽根とレンズシャッターは別々に設けられています。

この方式ですと、シャッター速度の最高値が1/4000秒という高級コンパクトカメラも存在するのでございます。


さらに最近のデジタルコンパクトカメラは、レンズシャッターと電子シャッターを組み合わせた「ハイブリッドシャッター」なんてのもございます。

これは電気的に露光を開始して、レンズシャッターで露光を終了する方式で、電子シャッター特有のローリング現象を抑えるためなんですね。


話が少しずれてしまいましたが、レンズシャッターの利点はコスト面だけではなく……

なんと言いましても、フラッシュ/ストロボがレンズシャッター全速度にシンクロ(同調)する事でしょうね。

一眼レフカメラに使われているフォーカルプレンシャッターでは、フラッシュ/ストロボにシンクロ(同調)できるシャッター速度に限界があるのでございました。