レンズ付フィルムとは、使い捨てカメラ又は、使い切りカメラのことです。

まさかあなた、本当にフィルムにレンズが付いているのを想像したのではないでしょうね(笑)

実はレンズ付フィルムは、フィルムを装着したプラスチックの暗箱に、これまたプラスチック製のチープなレンズが付いている「使い捨てカメラ」なんです。

その性能は、レンズが焦点距離28mmの広角でF11前後、シャッター速度が1/125秒前後というのが一般的です。

その形状と性能は、一時期ブームとなった「トイカメラ」にも似ているのでございます。


使い捨てカメラとも呼ばれるだけあって、撮影したら箱(カメラ)のまま現像に出して、戻ってくるのは現像したネガフィルムだけです。

つまりフィルム以外の本体は、メーカー側に回収され再利用されるのです。

ということは、本当は使い捨てカメラではなく「リサイクルカメラ」と呼ばれるべきなのでございます。

そういえば内部の乾電池だけ抜き出して、店頭でまとめて安値で販売している写真屋さんもありましたね。


それにしてもどうして「レンズ付きフィルム」などという、実物をイメージしにくい名前で呼ばれるようになったのでしょうか?

その理由は、流通上、カメラではなくフィルムとして取り扱う必要があったからなんです。

さすがにこの名前はいただけないと言う事で、各メーカーはさらに微笑ましいネーミングで商品を展開しました。

一例をあげますと富士フイルムの「写ルンです」が有名ですが、他にも「よく撮れぞうくん」や「パシャリコ(ジャガリコではありませんw)」や「パナ撮る」などなど……

どれも一度耳にしたら忘れられない名前ばかりですね(笑)


しかし残念なことに、高性能なカメラ付き携帯電話が普及するにつれて、レンズ付きフィルムを見る機会がだんだんと減ってしまいました。

しかしよく探してみると、今でもドラッグストアやコンビニなどで、密かに販売されているのでございます。

さらに今年になって、富士フイルムから「写ルンです」の発売30周年を記念した、アニバーサリーキットなんかも発売されましたよね。

最盛期にはいろいろなモデルが販売され、35ミリフィルム以外にも110フィルムやAPS仕様の製品もあり、フラッシュ付きモデルや、ISO感度も豊富に揃っていました。

さらに、望遠レンズ広角レンズを備えたモノから、パノラマ風撮影やセピア調撮影のできるモデルもございました。

さらにさらに、キャラクター仕様のデザインや、防水仕様のモデルまで発売され、コンパクトカメラが売れなくなるほどの人気だった時代もあったのです。

そういえば、カメラの持参はダメでも「レンズ付フィルム」はOKということで、修学旅行のカメラとしても定番でしたね。