収差とは、デジカメなどのレンズの理想からのズレ、欠点です。
そんな簡単な定義では納得してもらえないとおもいますので(笑)たっぷりと補足します。
理想のレンズは、光軸と平行な光線が1点に集まることです。
しかし実際のレンズは点とならずに面となるので、この理想とのズレが収差と呼ばれているのでございます。
収差の原因は簡単で、レンズが球面であるためです。
つまりレンズが球面である限り、収差からは逃れられないのでございます。
さて今から100年以上昔の19世紀に、ドイツの偉い研究者ザイデルさんが5つの収差を発表しました。
彼の名前を取って「ザイデルの5収差」と呼ばれて、現在でも収差の基本とされているのでございます。
カラー全盛時代となってから、「ザイデルの5収差」に加えてオマケの様に「色収差」が加わりました。
5つの収差はそれぞれ「球面収差」「コマ収差」「非点収差」「像面歪曲」「歪曲収差」+オマケで「色収差」となります。
一般的に広角レンズになるほど、「ザイデルの5収差」が強く出る傾向にあり、逆に望遠レンズになるほどオマケの「色収差」が強く出るのでございます。
曲者の収差も、お金に糸目を付けずに補正すれば極限まで抑えることができますが……
人間では持ち運べないほど大きく、異常な程の高価格になるので、個人が買えて持ち運べる大きさの辺りで妥協することが必要なのでございます。
それでも「俺は収差は許せない!」という方のために、個人でも出来る収差を抑える方法をお教えしましょう。
- 予算の許す限り、高級なレンズを買う。
- 絞りを絞る。
- 収差が目立たない絵づくりをする。
- 自分が研究開発してレンズをつくる。
現実は絞りを絞るのが一番手っ取り早い方法ですが、全ての収差が抑えられるワケでもなく、絞りすぎることで逆に回折現象の弊害が出て来てしまいます。
具体的には絞りに応じて素直に収まってくれる収差は「球面収差」くらいで、あとは「コマ収差」が少し良くなる程度です。
逆に全く絞りに応じて全く変化のないのが「歪曲収差」でございます。
収差が目立たない絵づくりというのは、主役を真ん中に置き4隅をぼかした構図で、ポートレートやマクロ撮影なんかの定番でございますね。
それって別名「日の丸構図」ともいいますが……(笑)
どんな安物のレンズでも、真ん中だけは画質が良いのでございます。