ローパスフィルターとは、デジタルカメラ画像のモアレと偽色を抑えるために、イメージセンサー(撮像素子)の手前に取り付けられているフィルターです。
文字どおりロー(低周波)をパス(透過)させるためのフィルターです。
つまり高周波を取り除くのが目的ですが、なぜかハイカットフィルターとは呼ばれません。
なにやら難しいので簡単に言いますと、画像の細かな部分をぼかすために取り付けられているフィルターなのでございます。
なぜわざわざ高解像度のレンズの性能を落とすような事をするかと申しますと、画像の細かな部分をぼかしてしまえばモアレと偽色を抑えることができるからです。
モアレというのは、イメージセンサー(撮像素子)の画素ピッチよりも小さな模様が写ると発生する幾何学模様でございます。
テレビを見ていると出演者のネクタイの模様が、テレビ液晶のドットよりの小さく映った瞬間に発生する事がございます。
また、日常では網戸と網戸が重なると幾何学模様が発生する事がございます。
写真ではビルのタイルや窓のブラインドなどでモアレの発生を良く見かけます。
つまり建築写真ではモアレが頻発してしまうのであります。
そこでローパスフィルターで画素ピッチよりも小さな模様をぼかしてしまえば、当然モアレは出なくなるのでございます。
撮影後にローパスフィルターでぼかした部分は、画像処理エンジンでシャープさを増して記録されますが……
手品ではないので、ぼかす前と同じシャープさにはなりません。
そこを不満に感じ「俺はモアレが写っても気にしないから、シャープな写真の方が良い!そのために高いレンズを買ったんだよ!」と怒る人達も大勢いらっしゃいます。
その結果2010年頃から、デジタルカメラからローパスフィルターを取り除いてしまうのがブームになっております。
それらのカメラは「ローパスフィルターレス」と呼ばれ、レンズの高解像度をそのまま生かせるカメラとして現在の主流になりつつあります。
なお、コンパクトデジタルカメラには最初からローパスフィルターは使われません。
その理由は、小さなイメージセンサー(撮像素子)での無理な高画素化により、レンズの解像度よりも画素ピッチの方が細かくなっているからです。
皮肉な事に優秀な高解像度のレンズも、高画素化の前では結像が甘いと言う結果になりました。
そのためモアレや偽色が発生しないのでございます。