「記憶色」とは、撮影者が撮影時に感じて記憶した色です。
感情という心のフィルターを通して認知された色なので、人それぞれ個人差があるのが特徴でございます。
青い空と碧い海はよりあおく、夕焼けの空はより赤く、といった感じですね。
「期待色」とは、製作者がプリントや印刷等において、仕上がりを希望する色です。
夕立のシーンは、もっと蒼くて暗くといった感じです。
特徴的なのは、両者共に撮影者の記憶やイメージ上の色なので、実際の色よりも強調された色であることです。
つまり「記憶色」も「期待色」も、忠実に再現された色ではないと言う事なのです。
なので忠実に色再現された真面目?なフィルムやデジカメほど、実は「記憶色」や「期待色」にそぐわないという皮肉な結果になってしまうのでございます。
ところで、フィルム時代に同じ色温度のカラーフィルムでも、他メーカーはもちろん、同じメーカでも様々な銘柄が用意されていましたね。
これは、撮影者が自分の記憶色/期待色に近い発色をするフィルムを選べるように考慮してあったのでございます。
また全てのカラーフィルムが実際の色よりも強調された色で再現されては困るので、忠実な色再現を目差して開発されてフィルムも存在しました。
しかし、そういう真面目な発色のフィルムほど、実際は売れなかったようでございます。
さて、肝心のデジタルカメラですが、「画質設定機能」を利用して、発色傾向を撮影者が自由に調整できるようになっています。
つまり「画質設定機能」を利用することで、撮影者の記憶色/期待色に沿った色再現の写真が撮れるのです。
また、「画質設定機能」においては、マニュアル設定以外にも、「風景」「ポートレート」「ビビッド」などあらかじめ撮影イメージごとにプリセットされているのが一般的でございます。