モアレとは、被写体の繰り返し模様とイメージセンサー(撮像素子)の画素配列パターンが、干渉しあって発生する縞模様(干渉縞)です。

もとはフランス語で、たまにモワレと言う人も見かけます。

あまり聞き慣れない言葉ですが、本来は印刷業界や服飾業界で使われていた言葉でございます。


フィルム時代は、写真にモアレが発生するような事はありませんでした。

しかし写真もデジタル時代となり、カメラにイメージセンサー(撮像素子)を使うようになってから出始めた現象なのでございます。

なお写真に限らず、日常でもモアレを目にすることが少なくありません。

例えば、網戸の網と網が重なると見える縞模様のパターンや、テレビの画面にテレビが映ったとき等です。

共通して言えるのは「干渉し合うお互いの繰り返し模様の大きさが同じ時にだけ発生する」と言う事なのでございます。

写真のモアレも同じく、イメージセンサー(撮像素子)の画素ピッチの大きさと、被写体のくり返し模様の大きさが一致したときに発生します。

特に写真で発生しやすいのは、衣類の繊維や模様、建物のタイルやスリット、ブラインドや時には髪の毛等です。

簡単なモアレであれば、撮影位置やアングルを変えるだけで消える場合もありますので試して見ましょう。


さて肝心の写真のモアレを防ぐ方法ですが、色々な方法が採用されています。

最近下火になりましたが、一般的(だった)なのは何と言っても「ローパスフィルター」でしょう。

ローパスフィルターをイメージセンサー(撮像素子)の前に設置して、高周波成分をカットして低周波成分だけを取り入れるのです。

え!説明が難しいって?(笑)

簡単に申し上げますと、ローパスフィルターがモアレの原因となる細かな繰り返しパターンだけ、都合良くボカしてくれるのです。

ボケてパターンが消えてしまえば、モアレは出ませんからね。

そしてぼかしたままだと解像度が低下しますので、後で画像処理で失われた解像度を上げるというやり方です。


ところで一般的にコンパクトカメラにおいては、前々から「ローパスフィルター」が取り付けられていないのでございます。

画像処理能力やコストのためだと思われますが……

実は小さなイメージセンサー(撮像素子)を高画素化することで、画素ピッチを小さくしてしまえばモアレが発生しないのです。

この考えを元に、最近の大中のデジカメも高画素化によるモアレの抑制に成功し、ローパスフィルターレス(ローパスフィルター無し)が一般的になりつつあります。

ローパスフィルターが無い方が、ぼかさない分解像度が低下しませんからね。

あ!でも、高画素化された画素ピッチと同じか、それ以上に解像する高性能レンズで撮影しないと……

レンズの解像度が低いと、高画素化されていない写真になりますので、イメージセンサー(撮像素子)の高画素化の意味がないのでございました。