パララックス/視差とは、カメラのファインダーで見えた像と、実際に写った写真のズレをいいます。

なぜこのようなズレが生じるのでしょうか?

原因は至って簡単で、「撮影レンズ」と「ファインダーレンズ」が、それぞれ違った位置にあるからでございます。

ということは一眼レフカメラのように、撮影レンズの像そのものを、クイックリターンミラーペンタプリズムで、ファインダーに導いて見るカメラでは、パララックス/視差は発生いたしません。

同様に電子ビューファインダー(EVF)ライブビューも、撮影レンズがイメージセンサー(撮像素子)に結んだ像を見るので、パララックス/視差は発生しないのでございます。


ではパララックス/視差が発生する「撮影レンズとファインダーレンズがそれぞれ違った位置にあるカメラ」とは、どのようなカメラなのでございましょうか?

まず簡単モノとして「写ルンです」のようなフレームファンダーや、水中カメラ等に付いているスポーツファインダーの付いたカメラがございます。

つぎにコンパクトカメラに付いてる「ビューファンダー」や、レンジファインダー等の「実像式ファインダー」のカメラもパララックス/視差が発生します。

これらのカメラは全て、撮影用のレンズとは別の位置に独立したファインダー枠やファインダーレンズがあるので、実際に写った写真とファインダーで見えた像とのズレが発生するのです。


ところで、パララックス/視差には以下のような特徴がございます。

  • 撮影レンズとファンダーの位置が離れているカメラほど、パララックス/視差は大きくなる。
  • カメラディスタンス/撮影距離が近くなるほど、パララックス/視差は大きくなる。

このように困ったパララックス/視差を、少しでも減らそうとするシステムもございます。

まずは「パララックス補正フレーム」という、近接撮影時に合わせた専用フレーム枠が表示してあるカメラが多数あります。

高級なカメラになりますと、パララックス自動補正機能という複雑なシステムがついています。

これは交換レンズの画角やカメラディスタンス/撮影距離に合わせて、ブライトフレーム(撮影範囲を示す枠)が動いてパララックス/視差を自動補正してくれるという優れ物なのでございます。

このようにパララックス/視差とは、実像式ファンダーの切っても切り離せないの欠点なのでございました。


最後になりましたが、自分の眼でパララックス/視差を体験できる簡単な実験をしてみましょう。

右目と左目を交互に閉じてみましょう。

いかがでしょうか?右目と左目で見える像が若干ずれていませんか?

次に、見る対象を少しづつ近くに移動してみましょう。

どうですか?近くのものを見るほど、右目と左目で見える像が大きくずれていませんか?

まさしくこの現象が、パララックス/視差なのです。