写真の日とは、公益社団法人日本写真協会(PSJ)が1951年に設定した写真の記念日です。
肝心の日にちは6月1日で、これは日本だけの記念日です。
写真の日制定のいわれは、天保12年(1841年)6月1日に、初めて日本人により写真撮影がされたためとなっています。
その内容は、長崎の上野俊之丞が島津斉興に接見して、日本で初めて輸入したダゲレオタイプのカメラで、大名の後継ぎ子(斉彬)を撮影したそうです。
そして、その銀板写真とカメラを献上したのが、天保12年(1841年)6月1日という資料があったそうでございます。
ところがどっこい大変なことに、その後この説は誤りだということが発覚したのです。
正確な記録によれば、天保14年(1843年)になっても、ダゲレオタイプを乗せた船は日本国内に上陸していなかったそうです。
しかも天保12年(1841年)6月1日には、島津斉興は江戸藩邸に滞在中と言うアリバイまでがあったのでございます。
では一体本当の説は、はどうなのでしょうか?
日本に写真が渡来したのは嘉永年間とされ、最初にダゲレオタイプ(銀板写真)の撮影が成功したのは、安政4年(1857年)9月17日だったのです
その内容は、薩摩藩士市来四郎・宇宿彦右衛門らが、藩主島津斉彬を撮影したものです。
その銀板写真は平成11年(1999年)6月に、写真としては初めて国の重要文化財に指定され、現在鹿児島の尚古集成館に保存されているのでございます。
このような歴史の誤認は良くあることなのですが、更に謎なのは一度決定した写真の日の変更はないという事実ではないでしょうか。
結局6月1日は写真とは関係ないわけですが、「歴史の誤認記念日」とするのももどかしいですし……
「何事もないように閉ざされて変わることを拒む日本人の気質が良く現れている記念日」となってしまいました。
何の記念日でも、記念日は記念日と言うことで「めでたし」ということなのでございます。
さて肝心の6月1日「写真の日」は、日本写真協会・日本写真家協会・カメラグランプリなど主催の、いろいろなイベントが全国各地で行われます。
特に写真の日をはさんで5月から6月にかけて開催される「東京写真月間」は、私の写真の楽しみの一つでもあります。
ところで「写真の日」は日本独自の記念日ですが、海外では同じ様な記念日として8月19日が「World Photography Day」として制定されています。
1839年にダゲレオタイプの発明特許をフランス政府が買い上げて、国民に自由に使用できる権利を宣言した日(8月19日)だそうです。
ところがこの記念日は2009年に制定されたので、日本の「写真の日」の方が半世紀以上も歴史があることになるのでございます。