肖像権とは、日本国内において人が自分の肖像をみだりに写真に写されたり、絵に描かれて、他者に勝手に利用されない権利です。
簡単に言いますと、本人の許可なしに写真を撮ったり、公表してはいけませんよ!というルールなのでございます。
ただし肖像権法と言うものはありません。
民法の第703条と第704条の、名誉棄損や不当利得などに準じたものであり、プライバシーの権利や財産の権利を保護するものです。
民法なので、刑事上の取り締まりを罰則もございません。
しかしこのような法律があると、スナップ写真のような見知らぬ他人の写る写真は一切撮ってはいけないのでしょうか?
良く議論されるテーマですが、ここでポイントを整理してみましょう。
この法律の目的は、写真を撮られたり撮影された写真を公表されることにより、不快を感じたり精神的な苦痛を受ける人を保護することです。
しかし現実は盗撮行為でもない限り、全ての人が、写真を撮られたりその写真を公表されることを、不快に思い精神的苦痛を受けるわけでないのでございます。
積極的に撮影されて、その写真を公表されることを望む人達もいるわけです。
つまり、肖像権を侵害したかどうかは、相手次第と言うことになります。
そこで1番確実なのは、写真を撮る時に相手に声をかけて許可をもられば良いわけです。
さらにその写真を公表したければ、相手の了解を得れば良いわけです。
写真を撮るのと、撮った写真を公表するのは別の行為ですので、それぞれに許可が必要です。
つまり、許可無く撮影や公表をした場合であって、なおかつ相手が不快を感じたり精神的な苦痛を受けた場合は、肖像権に触れたことになるのでございます。
なお肖像権に触れるのは、あくまでも私生活上(プライベート)の容姿を無断で撮影したり公表するという行為が前提です。
そのため、公の場での公然とした活動、つまりお祭りやパレード等の群衆などには肖像権は存在しないと一般的に解釈されています。
さらに公務中の公務員等は、私生活上(プライベート)ではないので、肖像権は無いと言われているのでございます。
最後になりましたが、肖像権には大きく分けると「人格権としての肖像権」と「財産権としての肖像権」があります。
「人格権としての肖像権」はプライバシー権とも呼ばれ、プライバシーの保護を目的としています。
「財産権としての肖像権」はパブリシティー権とも呼ばれ、著名人などの経済的効果の保護を目的としています。
なお今回ここで解説したのは、「人格権としての肖像権」となります。