リバースアダプター/リバースリングとは、レンズ交換式カメラの交換レンズを、逆さまに装着するためのアダプターです。
逆さまと言うのは、レンズの頭(前玉側)とお尻(後玉側)を、逆にしてカメラボディーに装着してしまうということです。
つまり、レンズの前側をリバースアダプター/リバースリングを介して、ボディーのレンズマウントに装着するのです。
そのためにリバースアダプター/リバースリングは、片側がレンズマウント、反対側はフィルターネジ(オス径)になっているのでございます。
こんな荒技を使う理由とは、一体何なのでしょうか?
それは、通常のレンズを逆側に装着することって、高倍率の接写撮影を可能とするためです。
特に広角レンズをボディーに逆さまに装着すると、最短撮影距離が極端に短くなります。
これにより、等倍以上の高倍率の接写を簡単に行うことができるのです。
その理由は、レンズが逆さまになったので、その結果レンズの主点がレンズ後方に移動して、レンズを繰り出した状態と同じことになるからです。
レンズの主点とは、レンズ群の配列や形状、屈折率などから計算して求められる中心点です。
計算上の光学的中心点なので、主点は必ずしもレンズ鏡胴の中心ではありません。
それどころか、主点がレンズ本体の外側に位置するレンズも、多く存在するのでございます。
さてここまで聞くと、良い事だらけのように聞こえますが……
実は、リバースアダプター/リバースリングを用いた接写撮影は、良い事だらけではありません。
まずオートフォーカス機能が使えず、ピント合わせはマニュアルフォーカスのみとなります。
また露出は絞り優先AEかマニアルでの操作となり、一部のカメラでは露出計も作動しません。
それらの欠点の原因は、レンズとカメラボディー間で電気的な接点が断たれてしまうからなのです。
デジタルカメラはフィルム式カメラと違い、レンズまで電気的に制御されていますからね。
電気が来なければ、レンズは停電状態なのでございます。
そのため最近は、電気接点を備えた接写リング/中間リングに、活躍の場を奪われています。
さらに、高性能マクロレンズ/マクロズームレンズやマクロ機能を備えたズームレンズの普及により、よほどの高倍率で撮影しない限り使われることが少なくなったのでございます。