ソフトフォーカスレンズとは、昔流行った霞がかかったような描写をするレンズです。

こんな表現をすると叱られてしまいそうなので、もっともらしい表現に置き換えると……

軟調な柔らかい描写をするレンズと申し上げます。

ますますわからなくなったと言う方は、70年代にヒットしたデビット・ハミルトン大先生の作品をご覧になって下さいませ。

ソフトフォーカスレンズは、たまに「ソフトレンズ」とか「柔焦点レンズ」等と呼ばれることもございます。

さてソフト描写の仕組みは至って簡単でございまして、一般のレンズでは補正するはずの「色収差」や「球面収差」等の収差を残したままにしてあるだけなのです。

カラー写真がまだ誕生してなかった頃のニコラ・ペルシャイドなどは、色収差を改善しないで画像をぼかしていました。

ところがカラー写真が誕生してからは、色収差は色のにじみが目立つので球面収差を利用するようになりました。

球面収差はハイライト部ににじみが発生して、なんとも言えない風情の描写が出来ます。

ところが球面収差は絞りを絞り込むことで改善されるので、絞り込むほどにソフト効果は消えてしまいます。

それに対してソフトフィルターは、ソフトフォーカスレンズと違ってレンズの絞り値でソフト効果は変わらないのでございます。

ソフトフィルターとは、普通のレンズの全面にかぶせてソフト効果を出すフィルターです。

レンズよりも価格が安いソフトフィルターのせいか、最近ではソフトフォーカスレンズはめっきり店舗に並ばなくなりました。

そのような状況の中、最近LENSBABYというブランドからソフトフォーカスレンズが発売されました。

このレンズ、昔流行ったローデンストックのイマゴンと言うレンズと同じく、レンコン状のフィルターを内蔵して無理矢理球面収差を発生されるユニークな方式を採用しております。