シンクロ撮影とは、フラッシュ/ストロボを用いた撮影全般をいいます。
シンクロ撮影の「シンクロ」とは、シンクロナイズドスイミングと同じシンクロで、「同調」と言う意味です。
つまり、カメラのシャッターが全開した瞬間と、フラッシュ/ストロボの発光するタイミングを同調させる撮影でございます。
しかし「なんで、同調させる必要があるの?」という疑問をお持ちの方に、詳しく説明いたします。
まず、同調させないといけない理由は、「フラッシュ/ストロボ」と「シャッター」の双方にあります。
フラッシュ/ストロボは、本来写真が写るのに十分な明るさがないときに、人口の光源を用いて明るさを補うために開発されました。
でもビデオカメラと違って、写真が映るのに必要な十分な明るさというのは、相当大きな明るさ(エネルギー)が必要です。
しかし幸いなことに、写真撮影はシャッターの開いた瞬間だけ明るくすれば良く、動画撮影の様に常に明るくする必要はありません。
そこで開発されたのが、フラッシュ/ストロボと言うほんの一瞬だけ光らせる光源です。
その仕組みは、コンデンサーに溜め込んだ電気を一気に放出して光らせるというものです。
そのため発光時間は、わずか「数万分の1秒」という、シャッター速度も及ばない短時間なのでございます。
さて、次はシャッターについてです。
シャッター速度は、ご存じのように60秒から1/4000秒などと幅広くありますよね。
でもシンクロ(同調)は、シャッターボタンを押した瞬間に、フラッシュ/ストロボを発光させれば良いわけではございません。
カメラには、それぞれ固有のタイムラグというものが存在します。
タイムラグとは、シャッターボタンやレリーズボタンを押してから、実際にシャッターが作動して露光が始まるまでの時間的なズレの事です。
中にはシャッターが開いている時間よりも、タイムラグの時間の方が長いカメラさえございます。
次に、シャッターが完全に全開してからフラッシュ/ストロボを発光させないと、シャッター膜の影が画像に写り込んでしまいます。
さらに問題なのは、一眼レフカメラに使われているフォーカルプレーンシャッターは、困った事に全てのシャッター速度でシャッターが全開するわけではありません。
ある一定の高速シャッター以上になると、シャッター膜が全開しないまま露光を終えてしまうのです。
シャッター速度というのは、あくまでも露光時間であって、シャッターが全開している時間ではないのです。
こうなると、もうシンクロ(同調)撮影は不可能になってしまいます。
この様な機構上の限界速度を「シンクロ速度」と言います。
ちなみに、コンパクトカメラや大判カメラに使われている「レンズシャッター」は例外です。
全速度でシャッターが全開しますので、機構上のシンクロ(同調)限界速度はありません。
その上シャッター作動時の衝撃も少なく、カメラブレも起こしにくい非常に優れたシャッターなのでございます。