テレセントリック光学系とは、主光線が光軸と並行に進むような光学系を言います。
従来は科学的用途に使う特殊なレンズを指しますが、ここでは「テレセントリック的光学系」として、主にデジタルカメラ専用設計とうたわれるレンズで使用されている光学系について説明いたします。
ここまでは堅苦しい説明で始まりましたが簡単にいいますと、レンズの絞りを通過した光が画面の周辺まで、垂直に近い角度でイメージセンサー(撮像素子)に入射する特性をいうのでございます。
真ん中周辺はイメージセンサー(撮像素子)に垂直に光が当たるのは当たり前ですが、なぜ周辺部まで垂直にこだわるかと申しますと……
イメージセンサー(撮像素子)の受光部であるフォトダイオードが、井戸の底(実際に研究者の間ではそう表現される)にあるからなんでございます。
イメージセンサー(撮像素子)に碁盤の目のように細かくびっしりと並ぶ画素(ピクセル)一つ一つには、配線が施されております。
その配線の底に受光部であるフォトダイオードがあるので、垂直でないと底まで光が届かないのであります。
少しでも井戸の底まで光を届けようと、画素(ピクセル)一つ一つにはマイクロレンズと呼ばれる集光レンズで蓋をされております。
涙ぐましい努力でございますね。
このマイクロレンズに光を出来るだけ垂直に届けるために、絞りを通過した光が光軸と平行に進むように設計されているのがデジタルカメラ専用設計とうたわれるレンズ、すなわちテレセントリック的光学系なレンズなのでございます。
テレセントリック光学系レンズを使うにあたり、長所としては画面の隅々まで光量と画質が低下しない事があげられます。
その反面短所として、イメージセンサー(撮像素子)に対してレンズマウントの口径を大きくする必要があるなどレンズが大型化してしまうのでございました。
まさしく、マイクロフォーザーズ規格のカメラにフォーサーズ規格のレンズを使用すると画質が良くなる現象の根拠でございますね。